「遵守」と「順守」はどちらも「じゅんしゅ」と読まれ、法律や規則、道徳に沿って守るべき事項を指す言葉として使われます。
「法令遵守」や「法令順守」という表現に見られるように、これらはしばしば同義で扱われ、どちらの用語を使用しても基本的には誤りではありません。
両方の漢字「遵」と「順」は常用漢字に含まれています。
公式文書や教育関連の資料では「遵守」の用語が好まれ、一方でメディア関連では「順守」という表記が一般的です。
この違いには、歴史的な背景があります。
もともとは「遵守」が一般的な表記でしたが、昭和29年に発表された国語審議会の報告により、当用漢字から削除される提案がされた28字の中に「遵」が含まれていました。これを受けて日本新聞協会は「遵」の代わりに「順」を使用することにし、「順守」という表記が広まりました。
しかし、この提案は実際には採用されず、「遵」は昭和56年の常用漢字表にも残りました。
それでも新聞協会は、25年以上にわたる「順守」の使用歴があるため、この表記を継続することを選択しました。
その結果、公式文書や学校の教科書では「遵守」が使われ続ける一方で、新聞やテレビでは「順守」が用いられるようになりました。
同様に、「遵法」と「順法」という表現にも違いが見られ、こちらも公式文書や教育資料では「遵法」が、メディアでは「順法」が使用される傾向にあります。
これらの違いは、「遵守」と「順守」の使い分けと同じ理由から生じています。