日本語における「お耳に入れる(おみみにいれる)」という表現は、特定の情報を控えめかつ慎重に伝える際の謙譲語として用いられます。
この表現は、文字通り「耳に入れる」という意味を持ちますが、実際には目上の人に対して何かをそっと伝える際に使用されます。ここでの「耳」には敬意を表す「お(御)」が付いています。
通常、目上の人に対して内密に何かを伝えたい場合に適しています。
例えば、「部長、少しお耳に入れておきたいことがございます」といった具合に使います。ただし、これは目上の人に対してのみ適切な表現であり、目下の人に使用するのは不適切です。例えば、「主任、部長にお耳に入れたいことがあります」という使い方は適切ではありません。
例文
「部長、プロジェクトの進捗に関して少しお耳に入れておきたいことがございます。」
「上司にはまだ公式な場で発表していない計画について、先にお耳に入れておく必要があるかもしれません。」
「社長、次の会議で取り上げる予定の新しい提案について、事前にお耳に入れておきたいと思います。」
一般的な情報の公開や周知の際には、「お知らせする」や「お知らせいたす」といった表現が適切です。
たとえば、「職員の人事異動について皆さんにお知らせいたします」という使い方が考えられます。
「お耳に入れる」に似た表現としては、「お耳に入る」(聞くの尊敬語)や「お耳を拝借(はいしゃく)する」(注意深く聞くことをお願いする表現)などがあります。
これらは、伝える内容や状況に応じて使い分けることが大切です。